2007年1月12日 (金)

第二の接触

Dainino 宇宙軍弁護士ベッカー中佐は、航行中に二名の部下を射殺した艦長の弁護の命を受けた。艦長は「自分が殺したのは宇宙人であるため無罪だ」と主張する。
宇宙軍の中に異星人が混ざっているというのだ。
ベッカーは半信半疑のまま調査を始めるが、調査は難航し不可解な方向へと向かっていった。
そしていつの間にか彼は命を狙われる危機に陥っていた。
艦長は気がふれた殺人者なのか、それとも?

ということでノンストップサスペンスSFです。
しかしその前にタイトルでネタバレしてるんじゃないのかと。
というか、どう見てもX-FILEでした。本当に(r

さて、ベッカーの前に立ちはばかるの謎の組織は巨大すぎて直ぐに調査にいきずまるのですが、天才美人ハッカーがそのつど助けてくれます。

金に困れば大物人物の口座から何十万ドルも振り込ませたり(違法ですが)、
他人のアクセスコードを盗んで情報をかすめ取ったり(違法ですが)、
高級レストランの支払いを他人の口座から落としたり(違法ですが)、
「ちょっと待ってね、ほら(セキュリティが)解けた」。
さすがだな、ハッカー。

が、ハッカーが高スキルすぎて、主人公が危機を打開していくという感がなく、ストーリーの展開が全部彼女にお任せという感が強いです。

スピーディな展開が映画向きです。

| | コメント (0) | トラックバック (0)

2006年12月17日 (日)

リングワールド

Ringworld あらすじ
パペッティア人が200歳の誕生日を迎えたルイス・ウーに見せた写真に写っていたのは、ある恒星の周りをリング状にとりまく巨大環状建造物群だった。
それは何十万年も前に地球から248光年離れた星系に作られた謎の構造体だった。
パペッティア人ネサスの下、ルイス・ウーとその愛人ティーラ・ブラウン、戦闘民族クジン人ら4人は調査隊を結成して超高速船ライアー号で謎のリングワールドに向かう。

ストーリーについていうと、まあ一言で言えば「旅は恥の書き捨て」ですw。
リングワールドはかつて超科学の技術である目的のために作られた人口世界ですが、
その後、文明は荒廃し、その世界住民の文化も退行しています。
ルイスらは空中移動機・フライサイクルでリングワールド人と接触しますが、原住民は初め、ルイスらをリングワールドを創った「建設者」=神だと勘違いします。
それが間違っていたことに気づき争いになるのですが、大抵、斬った張ったの殺し合いになります。
で、レーザーで相手をなぎ払っては移動してその繰り返し。
まさに外道

登場する宇宙人は、獰猛果敢な猫系種族クジン人、臆病で奸計に富むパペッティア人と、性格が分かりやすいので面白いです。
ティーラ・ブラウンについては、彼女は自分でも知らない秘密を持っていて、一言で言えば彼女は因果律干渉者というかラックマン。
彼女は幸運で先に進んでいく訳ですが、そこらへんの説明は後付けの感が否めませんでした。
スペオペとハードSFの中間という感じですか。
wikipediaによると、リングワールド自体の矛盾が色々と指摘され、それを解決するべく続編を書いてほしいと作者に手紙が来たということで、愛されている作品です。

この、恒星を取り巻く巨大建造群のアイデアはスティーヴン・バクスターのタイムシップでも、主人公がモーロックと一緒に旅する超未来での、太陽を取り巻く殻世界で登場してるようです。そういえば、BLAM!の建設者とかメガストラクチャーもこの流れから来てるんでしょうか。

| | コメント (0) | トラックバック (0)

2006年8月13日 (日)

冷たい方程式

Tumetai 短編アンソロジーです。SFマガジン・ベスト 1:

あらすじ

疫病が発生した惑星調査隊にワクチンを届ける、宇宙船が超空間から緊急出動した。
救助船の燃料・酸素は一人分として厳密に計算されていて、一切余分な重量の搭載は不可能である。しかし、その中に侵入者がいた。
密航者は規則により宇宙に廃棄しなければならない。
任務に失敗すると救助者・調査隊全員が死んでしまう。
パイロットは侵入者に出て来いと命令する。
声に則されて出てきたのは少女だった。

古典的ですが、なかなかオチもSFとしていいです。
他にも
未開の惑星で出会った先住民族は全て同じ容姿を持っていたという、ブラックな「接触汚染」、1000年前のヴァイキング時代に飛ばされた軍人の話「過去へ来た男」、などここらへんがなかなか面白かった。

| | コメント (0) | トラックバック (0)

2006年8月11日 (金)

アイヴォリー ある象牙の物語

巻頭に1898年のザンジバルで撮られた3メートル以上の長さの2本の
象牙を二人の男が持っている写真があります。
この象牙が物語の中心です。
歴史遺物や、宝石といったものが人の手を次々に渡っていくというプロットは
歴史ものでもありますが、この話は6000年の未来が舞台であり、
地球から外宇宙へそしてまた地球へと渡っていく二本の象牙の遍歴を
ある調査員が追っていくというストーリーです。
----------------
あらすじ
銀河暦6303年、博物館調査員、ダンカン・ロハスの元にマサイ族の最後の
末裔という男が現れる。彼は3000年前にマサイ族の手から離れたキリマンジャロ
エレファントの象牙の行方をロハスに依頼する。
ロハスは男の正体も分からないまま、興味を引いたこの調査を開始する。
----------------
というわけで、追跡といっても実際には博物館の調査用コンピュータが
追跡調査して、主人公はデスクで検索ワードを与えるだけです。
この主人公も面白く、いい年なのに家族も持たずに、興味を持った仕事には
のめり込んで社交性は極めて低いという、なかなか好感が持てるタイプです。
調査を依頼するブゴダ・マンダカというマサイ族の男も、信念が強いというか、
融通が利かないというか。
象牙がどうやって地球外に出て行ったのか、人類から非人類へと渡り、そして何処に消えたのか。
クライマックスはなかなか静かです。
こういう結末は好きです、かなり。
キリンヤガを読んだときも思いましたが、レズニックはラストがいいですね。

| | コメント (0) | トラックバック (0)

2006年6月17日 (土)

流れよわが涙、と警官は言った

あらすじ Nagareyo_1
 主人公は地球で3千万人の視聴者ファンを持つテレビのエンター
ティナー、タヴァナー。彼はプライベートの休暇直前にかつて支援した
女性歌手に呼び出され、彼女宅で口論の末、彼女に殺されそうになる。
 命は取り留めたものの次第に意識を失うタヴァナー。次に目が覚めた
とき、彼は見知らぬモーテルにいた。そして気がつくと全ての身分証を
紛失していた。それだけではなく、世界の誰もがタヴァナーのことを
知らなかった。
 この世界でタヴァナーは生まれてもおらず、存在してもいなかった。
タヴァナーは警察に追われながら悪夢の出口を探す。

 ディックの作品ではよく、ある日突然、悪夢的世界に放り込まれた主人公が登場します。主人公は中年で敗北を感じながらも、その状況・脱出の道を模索する、というストーリーですが、この作品もそのジャンルです。

 作品の中の世界自体が悪夢的なもので、市民は身分証のIDカードを持っていなければならず、そうでないものは警察に連行されて終身の強制労働所に送られます。そして市民の中には警察の密告者が潜んでいてIDカード無所得者を泳がせ、仲間もろとも検挙していきます。
 存在と命をつなぐためのIDカードをなくした主人公は、時に他人に自分の運命を託しながら、警察と対決します。警察は常にタヴァナーを監視し続けます。そして意外な人物と出会いストーリィが急変していきます。
 この世界観、暗い気分になりながらも惹かれてしまいます。

 ディックの主人公って中年が多いですね。多分40代からそれ以降の。学生の頃はあまり気にしませんでしたが、30を超えると段々身に染みてきました。
これはオヤジたちのためのSFです。
 なぜこの世界に来てしまったのか、は後半に語られます(マジすか、というオチですがいかにもディックです)。SFか、といわれると同意はあまり出来ませんが、ディックワールドか、といわれると、

どうみてもディックです。

| | コメント (0) | トラックバック (0)

2006年6月 3日 (土)

グラスハンマー

Grasshammerあらすじ
大戦のために荒廃したアメリカ。攻撃型軍事衛星が監視する中、
ハイテク機器を闇市に運ぶ連中がいた。彼らはスプリンタと呼ばれ、
その走りは衛星放送で全世界に配信されていた。

ジーターの本をはじめて読んだのはブレードランナー2でした。
そのときは結構良いなと思いましたが、これはいただけなかった。
設定が色々と特殊すぎで、まあそれはそういう設定のSFもあったりしますが
大抵はそれをうまく隠してるものです。
グラスハンマーはどこか、アメリカの前後編4時間テレビドラマモノの脚本の感じがしました。
音声・映像・ミディアムショットとかのテレビ脚本ぽい挿入分があり、なおさらです。
その効果を狙ってるのかもしれませんが。

それと、神学やら話の展開やら最後のオチやら、ディックの世界観や文体と似通っててオリジナリティを感じなかった。
ドクターアダーは良いらしいので今度そっちを読んでみようか。

| | コメント (0) | トラックバック (0)

2006年5月22日 (月)

ミラーシェード

80年代にSF界に現れたサイバーパンク運動。
ミラーシェードはその流れの中で台頭した作家たちのアンソロジーです。
サイバーモノがいつごろからどういう風に現れたのか、SFの流れを知るには良いです。
感想は、アタリありハズレありという感じですか。
作家たちの個性が強すぎw
脳に電子回路の補助脳を組んだ男の話「スネーク・アイズ」。
麻薬とロックとシンセサイザーの芸術家(?)の話「ロック・オン」。
ドラッグアーチストの「夏至祭」、
路地裏の盲目の男が金持ちにピックアップされて眼球とある仕事を与えられる「ストーン万歳」。
ここらへんが面白かったです。
反対に、期待していたスターリングとギブソンは自分的にはハズレでした。
スキズマトリックス、ニューロマンサーのような世界はありませんでした。
印象としては、当時流行したパンクロックの影響をそのまま受けたような文体、
というか雰囲気で、
だから力強く、歯切れが良い。
けれど、勢いだけでどこがSFなのか。
流行の音楽スタイルに乗ったために今となっては古くなってしまった感がしました。

もうみんなてんでバラバラ。サイバーパンク・ショーケースとはよく言ったもんですw

| | コメント (0) | トラックバック (0)

2006年5月 3日 (水)

アーヴァタール

あらすじ

 人類は、謎の存在<アザーズ>らが残したワープ装置、Tマシンを利用することでに宇宙に広がっていた。そしてある日、地球外文明探査船エミサリーがTマシンを通過して異星人をつれて帰還する。
保守的な地球評議会はただちにこの事実を隠すためにエミサリーを無人惑星に監禁し事実の隠蔽を図る。それを事前に察知していた惑星デルメルの事業家ブロダーセンは、異星人接触の事実を公表するべくチヌック号でエミサリー乗員の救出に向かう。

 本格的異星人コンタクトモノです。コンタクトモノはパターンが色々ありますが、これはハード系なんだろうか。コンタクトものは以前、「神の目の小さな塵」で玉砕したことがあり、序盤の流れを見て同じパターンじゃないかとイヤな感じがしましたが、ブロダーセンがエミサリー号救出に向かうあたりから徐々に話が動き始めます。
 主題は、どちらかというと人間関係やその描写に重点が置かれています。また、Tマシン跳躍の後の宇宙や星星の描写、会話などは登場人物の科学者らしい思考が読み取れ、この作品がスペオペではなくて確実にSFであるということが分かります。

 Tマシンは円筒形の巨大構造物でその中心を通るときに別のTマシンへと跳躍するという、スターゲートであり、はじめに、著者はTマシンは彼自身のアイデアではなくて、Phys.Rev.D (9) p2203.に書かれた基本原理を元にしていると断っています。コレを作ったのが、<アザーズ>で、本誌に出てくる異星のベータ人たちもその正体を知らない謎の存在です。なぜ、彼らがTマシンを作ったのか、そして彼らがどこに行ったのか、それがアーヴァタールの謎の目玉です。

 正直、上巻はイマイチ楽しめませんでしたが、下巻から面白くなります。特に船内に閉ざされて宇宙の放浪生活を送る搭乗者たちの人間描写がうまく、彼らの心がどう遍歴するか、が主題になってます。また、ホロシートと呼ばれる、意識を電脳機器にリンクさせてそれらと一体化になるという乗員がいますが、彼女の心理的遍歴と精神的結末を温かな目で記述されてます。ここらへんがアンダーソンです。本作が81年、ニューロマンサーが84年。この当時、マッキントッシュなどの新しいコンピュータがどんどん創り出されていて、この年代、SF作家がコンピュータに新しい世界を求めたことが想像できます。
 そして最後にはアザーズの正体も明らかになり、スッキリした終わり方です。

| | コメント (0) | トラックバック (0)

2005年12月26日 (月)

スラン

あらすじ

スランは見つけ次第、人間の手で殺された。
スランとは人間よりも高い知性と理性を備え、テレパス能力を持った新人類であり、
かつて人類を滅ぼそうとした、人類の敵である。
スランの少年・ジョミーは母を目の前で殺した暴徒から逃れ、父の計画を実行するために貧民街に潜伏する。
人類の最高権力者キア・グレイは人類最大の脅威であるスランを根絶するため、
組織内の果てしない権力闘争と戦いながらスラン逮捕を推進する。
15才に成長したジョミーは、行動に出る。
それは地球のどこかにあるはずのスランのコミュニティを探しだすというものだった。

スランと聞いて何を思い出すか?というと、自分はベルセルクに出てくる5人のゴッドハンドの一人です。そもそもこれを読もうと思ったのが、それが理由だったりします。
 登場グループとしては、人類とスラン、それからスランの特徴である触毛とテレパス能力を失った無触毛スランの3つが出てきます。この無触毛スランは人類だけでなくスランも滅ぼすべき脅威と考えており、ジョミーは父の形見の重力子放射線射出装置ならぬ無敵の原子銃ひとつで人類と無触毛スランから追われながら、キア・グレイと対決するべくスランの同志をさがします。

分類的にはスランは古典SFみたいです。
迫害される超能力者、新人類と人類との戦い、父の遺産の超兵器、ここら辺がどこかで聞いたシチュエーションだなと思ったら、竹宮恵子の「地球へ」とか、70年代の日本SF漫画・アニメに多大な影響を与えてるらしい。どうりで懐かしいわけです。確かに古典だ。
解説によると『スラン』はアスタウンディング誌の1940年9月号に4回シリーズで掲載されました。で、ウけた理由が、「当時、SFという小ざかしい小説にうつつを抜かすSFファンが迫害を受ける天才少年に同調した」からだということらしい。
ホントなのか?と思いましたが、たとえば最近下火になりつつある萌えアニメで「何のとりえもない主人公が何故か分からないけど女の子にもてる」という設定が今だ根強く支持を受けているっぽいという事実を思い当たると、なるほど、了承しました。
 さて、自分の読んだ早川版スランの初版がS52=1977。
 竹宮恵子の「地球へ」の連載が始まったのが1977。
読んだ瞬間、キュピーンと種がはじけたのか、全然関係ないのか、早川の前に初版があったのか。
まあ、何にせよ、昔より、SF漫画は書き手が男と女でなんでこんなに違うのだろうかとずっと考えていたのですが、その謎が少し解けたような気がします。

結論:
超能力→ロボット→ヒーロー→サイボーグ009
宇宙→?→?→私を月まで連れてって!
ごめんなさい、先生やっぱり分かりません

| | コメント (0) | トラックバック (0)

2005年12月 2日 (金)

偶然世界

あらすじ
最高権力者が抽選・Mゲームで決められる世界。ボトル転移と呼ばれる抽選により最高権力者ベリックは一夜にして最下級に転落し、代わって選ばれたのは無階級のカートライトだった。
しかしカートライトはその瞬間から、Mゲームによって抽選で合法的に選ばれた刺客に命を狙われることになる。
ボトルが選んだのはペリッグ。しかし彼は失職したベリッグの放つ刺客だった。
一方、最高権力者となったカートライトの周囲では、近づく敵の殺意を瞬時に読み取り仲間と共有して敵を殲滅するテレパスチームが刺客を迎え討つべく守りを固めた。
ペリッグはどうやってテレパス護衛隊を欺いてカートライトに挑戦するのか?

 最弱者と最高者の立場がある日突然逆転するストーリーは面白いです。この話も無階級から最高権力者へという転移です。で、ラッキーなカートライトのサクセスストーリーかと思いきや、主人公は転落したベリックの部下、ベントレイです。しかもストーリーは、ベントレイが、ベリックが転落しているとはつゆ知らずに主従契約し、その日のうちに自分のボスが無階級となっていたことを知らされるというところから始まります。
 分かりやすい例で言うと、心機一転で今の仕事を辞めて他の職業に転職したその日にその会社が自己破産宣告をしていたことを知らされるようなモンです。あながち他人事とは言えなくて、読んでてこっちがショボーンとなる出だしです。
 普通の「立場逆転モノ」と思って読み始めたものの、初っ端から発想が斜め上の展開に Σ(゚Д゚;≡;゚д゚)??
 ここら辺がなんともいえず、ディックです。
カバー裏のあらすじ紹介の当たりさわりなさは確信犯だろ・・・

 で、ストーリーは負組であるベントレイ一味たちの話が中心で、刺客ペリッグが仕掛ける意外な殺害方法やテレパスチームと刺客との攻防が白熱していて熱いです。
おまけに、外宇宙へと伝説の友人を探しに飛び出す星間航行船の乗組員たちの話とか、一見スケールが途方もなく大きいようで、よくよく考えるとストーリーと関係ないだろという流れでも強引に最後までもっていくあたり、ディックです。
話を最後まで読んだらこう思うでしょう。
「こいつらみんなインチキだ!」と。
こういう展開もディックです。

結論:負組を1人見たら後20人いると思え

| | コメント (2) | トラックバック (0)

より以前の記事一覧